すると奈央は手を差し出した。
その手を見ながら奈央を見上げる玲。

「お前も、ここで終わっちゃ駄目だ。
お前には直さんの残した呉羽を、守る
義務がある」
一言一言が重い言葉に感じられた。
奈央の言葉が、光のように
胸に差し込んでいく。

玲は直を思い出した。
そして、もう一回涙を流すと
目を閉じて、奈央の手をとった。

「直さんはお前のこと
全部分かってたから…呉羽の
未来を託したのかな」
「…さあ…」
「あたしの負けだ。ここのルールは
絶対に守んなきゃいけない。だから、
今日から頂点は、お前だ」

驚く藍、繭、憂、そして奈央。
玲の口からそんな言葉が出るとは
思わなかったようだ。
「直さんの次は、結構重いぜ?」
ニコっと玲は言う。
落ち着いて笑顔になる下っ端達。

「…あぁ」

始めて奈央は、微笑んだ。