「あなたと同じ痛みを
持つ人を、知っている」
奈央が荒い息で言う。
その言葉を聞いて玲は顔を上げた。
涙は止まる気配を見せない。

「あたしは、友達を亡くした」
玲の顔が驚いていた。

「あたしを守ろうとして、彼女は
亡くなったんだ。お前と同じ、憧れに
近い感情を抱いてた、唯一の友達
だったんだ…」
奈央の目が悲しく寂しくなる。
いつか、直が玲に見せた目のように。
直と同じものを奈央に感じる。

「だからあたしは罰として、
この学校に来た。優花が志望してた…
ここに。彼女の果たす事の出来なかった
夢を叶えようと思っていたんだ。心も…
必要ない。閉ざしていたんだ。けど」

藍もその話に耳を傾ける。

「ヤンキー達を見て、あたしを
敵対しない不良を見て、無くしたものを
確かに思い出した。呉羽には感謝してる」
「宮…崎…」
「大切な人を亡くして苦しい人は
いくらでもいる。大事なのは、そこから
立ち上がる強さだ。…分かるか?」

コク、と玲はうなずく。