しかし、憂はとんでもない
ものを目の当たりにした。

恐怖と驚きで言葉が出ない。
少女は包丁を持ち、まわりの不良
達は体を刺されて倒れていた。
どれも重症では無く軽い怪我だが、
刃物を使った事は間違いない。
気味の悪かった理由はもうひとつ。
その少女がずっと笑っていたことだ。

「お前…」
ニコっと微笑む少女。
名前はナジカだった。

「直軍団の一人じゃないですか~」

ナジカは笑顔で話しかけるが、
憂は気が気で無かった。

「何が楽しいんだよ…そんなの、
喧嘩じゃねぇよ!」
叫ぶ憂。それでもナジカの
笑い声は止まない。

「上に行くためには邪魔な
奴が多すぎるんですよ。貴方を
倒せば、手間が省ける…」
ナジカは憂へと突進する。

蹴りを受け止め、殴りこむ憂。
ナジカは床に這い蹲るが、
不気味な気配は消えていない。