「あたし家族の中でも馬鹿でな。
笑われるかもしれねーけど、喧嘩は
一番になって自慢してぇんだ。
くだらない話だろ?」

彼女の目が、寂しく見えた。
今まで自信があった元気な瞳が、
悲しくて何かを物語っていた。

さらに直は言う。
「この学校のルール、知ってるだろ?
お前は今日からあたしの部下だよな」
また元の笑顔になる直。
思わず反応してしまう玲。

ーこの人は、知っている。
本当の…強さを。この人の下で戦えたら、
どれだけ幸せだろう。
こんなに素敵な人と巡り合えて、
部下にならないほど惜しい
事はない。

ついていきたい。
この人と、上に行きたい。

そして、高2になったある日。
仲間が増え、玲、繭、憂、藍で
呉羽周辺を見回っていた。

校庭に戻ると、何人かの不良の
真ん中にただ一人の少女が戦っていた。
あっという間に倒れていく不良達。
少女は笑っていた。

「邪魔な素材だな。憂、行って来い」
「はいよっ」
憂は歩きながら面倒くさそうに
少女の所へ行った。
すぐ終わる雑魚だと思ったのだろう。