「やってみろよ!!いけッ!!」
「はい!」
玲が指示を出すと、下っ端の
16人が直へと襲いかかった。
玲は椅子に座って高見の見物。
どうせ倒せないだろう。
玲は、そう予想していた。
しかし結果は大きく違った。

5分後には、下っ端と共に
玲も倒れていた。

「てめぇ…何者だ…?」
傷が響き、息が荒れ、
上手く話せない。
それでも虚ろな目をして
問い掛けると、直は笑顔に
なって言った。

「ただの直だよ」
それが、玲と直の出会いだった。
こんなに差があっても、今までで
直にとっては一番やりあえた
奴だったという。
「あたしも上に行きたいんだ」
彼女は子供らしい顔つきで
玲に笑いかけて言う。
自分でも理解が出来ない。
敵の言葉に耳をかしてしまうとは。
直には、人を惹き付ける魅力が
あった。その不思議な長所に、皆
憧れていくのだ。