「それで十分なんじゃないのか」

「フフッ♪」
奈央が来るのを待っていたかの
ように、藍は笑う。
「下がれ」
そう奈央が言うと、藍は
身をひいてまた座り込んだ。

「立ち上がったところで、
何が変わる?お前はあたしには
勝てねぇよ。迷いは負けをうむ」

「お前に言おう。お前はあたしに
勝てない。何故なら、迷いがあるのは
お前だからだ」
「何…??」
ドガッ
玲の蹴りをよけ殴り込む奈央。
その顔は自信に満ち溢れている。

ー4人と喧嘩をしておいて、
まだ戦えるなんて…流石だな。
『玲は、あたしと一番やりあえた奴だ』
直の言った言葉を思い浮かべていた。

ドカッ
ドゴッ
ズドンッ

激しい音と共に血が吹き飛ぶ。
どちらも落ちる様子は見せない。

ーふざけんな。
あたしに迷いなんてない。
ただ、直先輩を失ったのは…

「はっ」
ボコッ
考え事をしているうちに、
奈央に殴られる玲。