「あんたほどの人が傍にいれば…
直先輩は死ななかったのに。もっと
他の結末があったのに!」

自分の意見を思うまま言う奈央。

「…ああ」
玲は童謡も見せずに言った。

「…直さんに頼まれたんだ。
ナジカの率いる軍団が呉羽を無理やり
襲撃しようとしてるから、
それを潰せって。あたしは
大丈夫だから、信じろって言われて…」

今まで見たこともない玲の弱気な姿。

「…傷だらけのナジカに会ったんだ。
会った瞬間に、全部分かったよ…
直さんは死んだんだって。
だからアイツを潰して、警察に
出してやった」

奈央はそれを聞くと手を離した。

重く、冷たく、静かな
空気だけが教室に流れていた。

「…わたしは、何をすれば
良かったんだろうな…」
玲は今にも泣きそうな声で
言った。それを見て、奈央も
泣きそうになっていた。