『…優花?』

ポタポタと血がこぼれる。
目の前には、奈央が当たるはずだった
鉄の棒が優花を痛めつけていた。
横から奈央をかばった為、頭に
命中したのだ。

『…』
無言で倒れる優花。
アハハ、と笑う不良達の姿。
奈央はそれを見て、
初めて絶望を覚えた。

『嘘…だ。嘘だよ優花…』

目をとじて、ただ血だけが流れる。
優花は口を開かない。

『同じ事言わせんな。
おめーが悪いんだ。
お前らみたいなクズ、相手にする
あたし等も馬鹿だったけど。
アハハハ!』

笑い声が遠くなる。
奈央自身も貧血が起きていた。

行く不良を前に、体を
動かせない奈央。そのまま
倒れこんだ。