それからチャットを覗く度、何となくその名前が目について、いつの間にか会話を追ってる自分が居た。

そこに居るリリーはとてもお喋りで明るくて、周りからは結構からかわれたりして。
だけど、本人もそれを楽しんで会話してる様子で
あれは…確かそう、深夜過ぎだったかな。


サッカー観て、いつものようにチャットに行って覗いたら、リリーが一人で歌ってて。
歌ってるって言っても、ただ歌詞を打ってるだけなんだけど、それがなんか面白くて、つい声を掛けてた。
その時も「荒らしだ」なんて言われたっけ…





「全然、覚えてないや…」



秋が身体を起こしながら、枕を背もたれにして言う。
俺も身体を起こして、タバコを吸いながら、同じようにして手を繋いで話を進めた。




その頃、いや、その前から彼女とは余り上手く行ってなくて、上手く行ってないって言うよりはそれなりの関係を続けてただけで、いつもモヤモヤしてた。
一種の[現実逃避]ってヤツ。
まぁ、向こうも好きな事やってたみたいだし、俺も少しくらいは…って感じでチャットで会話するようになって。


色んな人と会話したけど、リリーとは会う度に「荒らし」なんて、からかわれてた。
そこに居る間は嫌な事を忘れられた。

その日あった事も全部。