思わず俯くと、「ポンポン」と頭に軽く重力が掛かる。 修はあたしの頭をクシャクシャ撫でて言う。 「なぁ梨々ィ~、そんな顔すんなやー。俺、梨々の笑った顔が好きやねんけど」 その言葉に頬が火照る。 いや、別、修が好きなわけじゃなくって、ね? やっぱ、修はあたしにとってお兄ちゃん的な幼なじみで。 likeであってloveではない。 やっぱり、あたしは慧夜が好きだ。 ―――何時の間にか、あたしの好きな桜は緑に染まっていた。