「えっっっとー……」


沈黙が流れる中、あたしは何故かまた慧夜を見てしまった。




目が合った。


笑われた。



あの悪魔のような顔で。






あたしは、すぐに目を逸らす。


「すいません。やってないです」

「そうですか。これからはちゃんとして下さい!では、柳さん、どうですか」


タイミング悪すぎ。



何でこういう時に慧夜が当たるの?


「はい。3x+…………」

「はい。素晴らしいです。それでは次の問題は、(2)の…………」


松山先生が話している間は、慧夜を見ないようにした。




――キーンコーンカーンコーン


こうして数学の授業は終わった。