それだけでよかった


他人、みたいだった。

ううん。
私と冬樹は他人になった。

そう感じた。






「テスト勉強しよー。放課後図書室集合ねー」

前期定期試験。
こんな憂鬱なものはない。

「夏野も来る?」

「うん、行くよ」

けど、ショックを忘れるには、ちょうどよかった。
何か、ほかの違うものに集中することで、私は私を保った。

今思えば、幼なじみなんだから話せばよかったのだけど。

あの頃の私には、それだけ大人にも冷静にもなれなかった。