栄楽は子州に入ってから、さらに物流を観察した。



子州より丑州の方が物流は活発だ。



しかし、一つだけ飛ぶように売れるものがある。



それが売れることによって、赤国全土の物価が乱れる。



最初は子州から丑州に流れた。



その道はすでに太い。



それを求める民が多くいるからだ。



子州丑州での闇塩の道は、ほぼ出来上がった。



塩は権力だ。



その塩で、一儲けする。



自分のためではない。



国のためでもない。



もちろん民のためでもない。



自分と志を同じくする者たちのためだけにある。



闇の銀ではあるが、自分たちにとってそれは光だった。