「おい。
お主等は、自分で何とかしようとは思えんのか。」



「そうは言っても東老師。
天術が使えるものなどそうはおりませぬ。」



東老師が難しい顔をした。



自分にもう少し力があれば、と劉巾は思う。



だが、今は時間がないのだ。



近々王は動く。



「こうなっては仕方ありません。
祝融様が逃がしたとあらば、後の処遇が大変なものになるでしょうが、彩夏殿も一緒に逃げていると思われた方が時間稼ぎになります。」



「しかしのう…」



「その後の手立ては我々で考えましょう。」



仕方ないと、東苑も頷いた。



「祝融様の術は、俺が解きます。
俺たちが動いていることは、王は知らないのですよね。」



「おそらく、祝融様は気づいていると思う。」