「…なにか、あるの?」


私がそう問い掛けると、母は曖昧に首を傾げます。


「動いてる気がするんだよね…少し」


言いにくそうに告げた母の視線を辿ると、そこにはいつも通り目を瞑ってちょこんと座る人形がいました。

(……あれ?)

瞬間、違和感を感じてもう一度人形を見るとメリーはやはりいつも通り、つぶらな瞳で此方を見つめながら座っています。

(…気のせい、かな)

そう思って視線を外し、私は逃げるようにその部屋を後にしました。