家に人形を持ち帰って、私は綺麗なタンスの上にその子を座らせてあげました。
出来るだけ人の目につく所に人形を飾り、出来るだけ毎日頭を撫でてあげるように。

そうして一週間が経った頃でしょうか。
妄想、と言われてしまえばそれまでなのですが私はこの頃から少し視線を感じるようになったのです。

誰もいない部屋の筈なのに、誰かに監視されているような、そんな視線を。


メリーは、なんと説明すればいいのでしょうか、仰向けに体を倒すと目が閉じる仕掛けのついた人形でした。
体を起こすと目を開けて、体を倒すと目を閉じる。


人形を置いてある棚を振り返れば、人形は座っていますから、その目を開けてじっと此方を見ています。私はどうしてもメリーと視線を合わすのが怖くて、誰もいない時だけはメリーを棚の上に寝かせておく事にしました。