結論から言えば、メリーは確かにそこにいました。
カラーボックスと壁の間に、こちらに背中を向けて。ひっそりと挟まっていたのです。
父は人形は触ってない、そう言いました。
人形があったのは別の部屋の棚の上だったのに、なぜ。
恐怖で固まる私の頭の中は、色々な考えでぐるぐると、渦を巻いていました。
所詮子供の考えですから、背中を向けた人形を振り向かせたら――その顔が怨むようなものに変わっているんじゃないか、なんてそんな妄想ばかりを考えては泣いていたような気がします。
狭い隙間に手を伸ばして人形を抱き抱えても、勿論顔が変わるなんて事はなかったのですが。
