やがて、二時間くらい経った頃でしょうか。
飽きずに写真を眺めていた母が突然、「見えた」と口にしたのです。
その言葉を聞いて叔母もまた写真を覗き込みました。
「…さっきまではいなかったよね?」
「うん、なんか浮き出てきてる」
そんな会話を聞きながらそこでやっと興味を惹かれた私は近付いて写真を覗き込みました。
見下ろした写真は左向きに横になっていて、オレンジの複雑な線がなにかの形のように見えたのです。
写真を見てもそれがなんの形をしているかが分からない私に、母は細かく説明をしてくれました。
「この線は頭、この線は体で…なにか台みたいなものに座ってるの」
言われた通りに眺めてみたら、確かに複雑な線は小さな人型のような形をしています。
真っ暗なテレビの小さな画面の中に佇む人影、見つめていると背筋がぞくりと震えるような感覚に襲われ、私はそこから目を背けました。
