いつもそうやって場が盛り上がり、それぞれが相手を見つけてカップルになる頃には誰も慶介を相手にせず一人でぼおっとするのが常である。

鹿内はさっさとお気に入りを見つけ、その隣に強引に座り込んだ。

「ちょっとぉ、鹿内君の座るとこあっちでしょ?」

そう言いながらも女は嬉しそうである。鹿内は日に焼けた浅黒い肌を持ついかにも今風の男だ。

顔も悪くないし背も高い。慶介が立ち向かった所で一瞬で殴り倒されるだろう。

鹿内がふざけて寄りかかったりするのを、嫌がりながらも嬌声を上げているのは最初に慶介が気に入った女だった。

無論何の感情もない。