そんなたった1枚の脆い仮面を慶介は虚栄で必死に守ろうとしていた。

あの瞬間もそうだった・・・。大学内で瞬く間に仮面を剥がされた慶介は同級生達の、奴隷に成り下がっていた。

何でも言う事を聞く慶介は重宝され、特にコンパ等の飲み会では引っ張りだこである。

勿論皆が必要としているのは一人の人間としてではなく、ロボットとしての慶介だ。

席上では笑いの種にされ、ある事無い事を肴に場は盛り上がる。

酒の飲めない慶介は、一気飲みの強制で皆が帰って店に一人になるまで寝かされるか、そうでない時は酔った連中の運転手がわりだ。

昨日もコンパだった・・・。いや果たして昨日なのかどうか気を失っていたので分からないが、それでも数日前だろう。