(もし・・・かして美穂?)

そんな筈は無いのに、何故かそう思いながら亜衣はドアに駆け寄った。
玄関にかけられた大きな鏡に自分の顔を写してみる。


(真っ白い顔・・・立体感がない。紙に書いた絵みたい)

「すみません、蓮尾さんのお宅ですか?」

「は、はい?」

聞き覚えの無い声に思わず返事してしまう。

美穂の声でも、ましてや憧れの窪上の声でもなかった。

「小包です。印鑑欲しいんですけど」

「サインでもいいですか?」

ハンコを探しに行くのが面倒くさくて答える。