「警部、1階のサイドボードの奥から同じタイプの拳銃が1丁発見されました」

「そうか、鑑識に回して発射された形跡があるか調べてくれ」

部下の方を見向きもせずに指示を出す男を亜衣は黙って見つめた。

瞳には何の感情も宿っていない。

「どこも怪我はないようだが一応救急車を呼んだよ……しかし酷い有様だ……思い出さない方が君の為なんだろうけど」

「ごめんなさい」

「謝らなくでいいんだ……ただこれだけの事件だから」

「西村警部、この家の名義が分かりました、葛西栄司という男で……」

「あとで聞く!」