「殺すつもりならとっくに僕たち死んでますよ」

東は自分自身の言葉に沈んだ顔をした。

「どうして殺されなきゃならないんだ。そんな覚えはないぞ」

「殺される人ってみんなそう思ってるんじゃないですか?何故俺があ…って」

おどけて苦しむふりをする慶介にまた怒りが湧いてくる。

目を合わさぬよう後ろを振り返った仲埜の視線に、恐怖で顔を引き攣らせながらソファーの上で後ずさりする女が見えた。

「やあ、お目覚めかな」

なるべく優しい口調で言ったつもりだったが女は更に体を後ろにずらす。

もう少しでソファーから落ちそうだ。