その手には拳銃がしっかりと握られていて銃口から青白い煙がうっすらと上がっている。

「それは困るわ」

静かな声だった。

大きな肉の塊を抱きかかえながら呆然と仲埜は麻里を見詰めた。

その顔は口元に僅かに笑みを蓄え白い煙がフィルターのように表情を薄れさす。

慶介は中腰になったまま動けない。亜衣は気を失っていた。

「な、何故・・・?」

「だからそれは困るって言ったじゃない」

「何が困るんだ」

言い終わってから葛西の血が口に入った仲埜は激しく咳き込んだ。