ハッピーエンド

仕方なく合鍵を取り出してドアを開ける。キーは持っていても勝手に部屋に入る事を真喜子は嫌った。

「おーい・・・いないのか？」

チェーンがかけられていなかったのだから留守かもしれない。

しかし足元には見慣れた靴が何足が置かれている。

「入るよ・・・真喜子？」

手探りで灯りのスイッチを入れたが玄関に面したダイニングに人影は居なかった。

「寝てるなこれは・・・」

そのまま帰ろうかとも思ったが花束を持って家に帰るのも嫌だ。
少しだけ考えた結果、仲埜は音を立てないように忍び足で寝室に向った。

８畳のダイニングキッチンの向こうに少し広めのリビングがありそれに続いてベッドを置くだけで一杯になるような小さな寝室がある。