後頭部への灰皿の一撃。

たったそれだけで脆くも消える命の炎。
田中の数十年は、そんな些細な事で無に帰したのだ。

「虚しいな・・・」

自然とそんな言葉が口に出たが慶介達には聞こえなかったらしい。

こんな感覚、一度だけ経験した事がある・・・あの時もそうだった。仲埜の思考は空ろな過去へと飛んでいた。