ハッピーエンド

「なんだと貴様!」

「それは言い過ぎじゃないか?彼は君を助けたい一心でこうなったんだぞ、物の言い方があるだろ」

仲埜の加勢を得て心強くなったのか慶介が麻里の前ににじり寄った。

「何から私を助けるの?目的の為なら人前で裸になる事も、知らない男と寝る事も私は何とも思わない。あなた達に助けを求めるなら死んだほうがましよ。私は情報を得るために自分からあの男に抱かれようとしたのよ。余計な邪魔はしないで」

(この子は本当に人間なのか?何が彼女をこう変えたんだ・・・)

何者をも寄せ付けない閉ざされた心に仲埜は逆に同情を感じた。だが同情したような素振りを見せれば麻里の鎧はますます強固になるだろう。しかも麻里は敵なのだ。自分達を強制的に連行し田中を死に追いやった。