その様子を見ていた田中の胸に嗜虐的な欲望がふつふつと湧きあがる。

「それで人に物を頼んだつもりか?」

人間には追い詰められると逆に冷静になり五感を研ぎ澄ませ、物事を論理的に思考出来るタイプと、錯乱して本能だけが突出してしまうタイプがある。田中は後者だった。

「どうすれば応じてもらえるのかな?」

「・・・そこの女を貰おうか」

「な、何を言うんですか!田中さん僕からもお願いしますよ、もう早く終わらせて解放してもらいましょ・・・」

たまりかねて立ち上がった慶介に振り返った田中が物も言わず拳を顔面に叩き込んだ。