少し顔を歪めながら吐き捨てるように葛西が言った。この部屋で初めて見せる感情表現に思える。

「何でも話しますから早く・・・」

「次は私がするわ。おじさん休んでて」

案の定麻里が白い紙を手に葛西の肩に手をかけた。

「変わりばんこっていう訳かい?どっちでもいい!頼むから此処から出してくれ!」

「出たければ本当の事を喋るのね」
感情をあらわにする田中を麻里の冷ややかな声が制した。

それを聞いて今まで落ち着かない様子だった田中の顔色が変わった。