「あなたは警察に聞かれた時に、ある程度の事故内容を先に聞いてしまっていた。司の車が猛スピードでセンターラインをオーバーしたらしい・・・ってね。それであなたは警察官の希望通りの言葉を吐いてしまった。常に相手に合わせようとする蓮尾さんらしい行動でしょう。蓮尾さん・・・あなた自分の生き方をよく考えた方がいい。私も偉そうな事を言える人間ではないが、他人に認めてもらう為にはまず自分を見失わない事。あなたは空気のような存在になりたいのでは無い筈だ。相手に合わせる事だけを考えていても、他人の目はあなたに向かない」

目を硬く閉じ、今にも失神するのではと思える程蒼白になった亜衣は夢中で何度も首を振った。