硬直して何も言えなくなった亜衣を置き去りにして、葛西は唐突にプレーヤーのスイッチを入れた。

風を切るような回転音が聞こえた後、画面に外国のハイウェイのような映像が映し出され、仲埜でも聞いた事があるようなメロディが流れ始めた。

葛西も黙ってそれを見ている。亜衣は画面から視線を逸らそうとしたが金縛りにあったように動けなかった。

まばゆいばかりの晴天の中、地平線まで続くような広大な道路に1台の白いスポーツカーが写っている。

スピードメーターが映し出され80マイルを表示していた。車には銃を抱えた刺青だらけの若い男数人と髪を真っ赤に染めた頭の悪そうな女がビールやマリファナを片手に大騒ぎしている。