「たしかに紺色のセダンで合っています。でも夜道を走る車の色をあなたは判別出来る?花火の光があったとしても東慶介君は黒っぽい車と言ってるんですよ。警察の事故調書ですら黒い車と書いてある。紺色と断定しているのは蓮尾さん、あなただけだ」

亜衣の口が半開きになった。

葛西に聞こえてしまうんでは無いだろうか心配になる程、心臓の鼓動が大きく脈打つ。

「ではこれを見てください。あなたが当日カラオケで歌った『地平線の彼方に』のカラオケで流されている映像です。最近のカラオケは殆どが通信システムなんですが、あなたが利用した遊覧船は移動しますから安定電波を受けれない・・・と言う事で、今時珍しいレーザーディスクです。それをDVDにダビングしてきました」