ハッピーエンド

多くを話せば、とたんに言葉尻を捉えられ徹底的に叩き潰されそうな気がして亜衣は短く返事だけをした。

「その日あなたは友人達と、ある交通会社が所有する遊覧船で船上パーティーを行った。調べた所、貸切船代だけで3時間20万、それに料理代なんかを加えると幾らになるのか・・・最近の学生さんは豪勢ですよね、羨ましい」

「そうです。よく調べていますね」

皮肉を言ったつもりだが葛西は眉一つ動かさず独り言を呟くように亜衣を無視した。

「船内で立食形式のパーティーと色々なゲーム、カラオケを楽しんだ後マンションに帰り、そして事故を目撃している」

「遊びにはよく行くから、その日に何処へ行ったかも覚えていません」