ハッピーエンド

監査の話を聞いてから眠れない夜が続いていた。栄子さえ了承してくれれば・・・そうすれば万一の事があっても、栄子本人が印鑑を間違えたと照明するだけで田中は今までどおりの生活を送る事が出来る。

たとえ一生を栄子に捧げる事になろうとも・・・。

脂ぎった体臭のきつい栄子の裸体を思い浮かべるだけで吐き気をもよおすが人生を棒にふるよりはましである。

栄子は自分に惚れている、事情を説明すれば助けてくれるに違いない。

駐車場についた田中はキーを取り出し、これも栄子に買ってもらった真っ赤な外車に乗ろうとして唖然とした。

車が無いのである。