ハッピーエンド

彼らへ融資した2億はそっくり田中の手元に帰ってきた。それをパシフィックリースからの返済に充てたが、それは身の破滅をほんの少し先送りしたに過ぎないのだ。

これなら未だパシフィックリースの不良債権を抱えていた方がましだったかもしれない。
悪くても左遷され一生閑職に追いやられる程度で済んだだろう。しかし今度の行為は経過が明るみに出れば犯罪である。

田中を脅した男達は口裏を合わせるだろうし、いざとなればダミー会社をたたんでもいいのだ。

本来、田中の担保だった土地は少なくとも4億の価値があるのだ。

そんな時に栄子が田中を気に入ってくれた。

彼女が銀行に預けている資産は10数億、そのうち5億近くが定期預金だ。
栄子が預金を引き出す事は無い。十分過ぎるほどの現金を普通預金と自宅の金庫においてある。