「あんなのって‥‥‥。水樹にとってはあんなのでも、あたしにとっては大事なものなんだもん‥‥‥」
唯一、水樹にもらった宝物だから‥‥‥‥ってことはさすがに言えなくて。
それでも、水樹はあたしを止めようとする。
「とにかく危ないから、一旦こっち来いって‥‥!」
「やだ‥‥っ!早くしないと、流されちゃう‥‥‥っ」
まるで駄々をこねる子供みたいに抵抗するあたしに、水樹も少し困った様子をしている。
でも‥‥ごめんね水樹。
これだけは譲れないの‥‥‥。
「‥‥ぅ‥‥っ」
踏ん張りながらも再び手を伸ばして、一歩前に出ようとした時‥‥‥‥。
そこにはあると思っていた足場がなくて、あたしはガクンッと川の中の深い所へ落ちそうになる。
「ッ‥‥!」
そして、水樹が危ないと言ってたのは‥‥ここには足場がないことを知っていたからだと、今になって分かった。


