あたしが首を傾げて見ていると、その姿は急いで階段をかけ降り、川の水際まで近づいてくる。
「‥‥‥み、水樹‥‥っ」
そして、初めてそれが水樹だということに気付いた。
少し驚いた顔をしてあたしを見る水樹は、どうやら一人らしく‥‥あたしは少しホッとする。
「何やってんだばか!」
怒鳴るようにあたしに向かってそう言う水樹に、あたしは"結衣ちゃんにキーホルダーを捨てられた"なんて‥‥本当のことを言えるはずもなく、少し考える。
「は‥‥橋の上からキーホルダー落としちゃって‥‥‥」
苦しくも、そう言ったあたしはすぐそこにある枝に引っ掛かったキーホルダーをチラリと見た。
すると、水樹もあたしの目線を辿ってそれを見てから、またあたしへと視線を戻す。
「あんなの、ここまでして取らなくてもいいだろ」
何も知らないくせに、呆れたように眉間にしわを寄せてため息をつく水樹に、あたしは少しムカッとした。


