懐中電灯で用紙を照らすと、あたしたちより先に回った栄介くんや、他の部員達の名前が書かれている。
「ぷっ‥‥栄介の字、超震えてるし」
吹き出しながら、その震えた字の下にキレイな字で名前を書く大地先輩。
その字から、大地先輩の落ち着きぶりが読み取れる。
「はい、次桃子ちゃん」
「は、はい‥‥っ」
名前を書き終わった大地先輩から鉛筆を受け取って、あたしも名前を記入する。
動揺していることを悟られないように、グッと手に力をいれるが‥‥逆に力が入りすぎてだらしない字になってしまった。
この際、字の汚さなんてどうでもいいから、早くここを出たい。
そんな気持ちだけが頭をぐるぐる駆け巡る。
「で、できた‥‥大地先輩、早く行きましょう‥‥っ」
「お、じゃあ行こっか」
ガラガラ‥‥‥。
静かに音楽室のドアを閉める。
後は体育館に戻るだけ‥‥。
あたしは、もう少しでこの緊張感から抜け出せることに、少しだけ安心していた。


