「ふぅ‥‥ぜ、全然怖くなかったぜ‥‥」
そう言った栄介くんは、青い顔をしながら額の汗を拭う。
「嘘つけ。ここまでお前の悲鳴聞こえてたぞ」
すかさずつっこむ大地先輩に、栄介くんはギクリと肩を跳ね上がらせた。
「お‥‥つ、次は大地と桃子ちゃんか!」
「話逸らしたな。まぁ、いいや。行こっか、桃子ちゃん」
「あ‥‥は、はい‥‥」
どうしよう‥‥いよいよあたしたちの番になってしまった‥‥。
肝試しのルールは体育館からスタートし、校内を歩いて三階の音楽室に置いてある用紙に証拠として名前を書いて、またここまで戻ってくるというものだった。
持っていっていいのは懐中電灯ひとつだけ。
スタート前に栄介くん達のペアから受け取った懐中電灯を、大地先輩が持って、あたしはその横を歩き始める。
「「いってらっしゃーい!」」
すでに遠くなった体育館の向こうから、陽気な部員達の声があたしたちを送り出した。


