泣き虫で、弱気で、臆病で、いつも肝心なことがちゃんと言えない‥‥。



とことん自分のそんなところが嫌になる。






「水樹は‥‥‥あたしのお兄ちゃんだよ?そんなこと、あるわけないよ‥‥」






結局あたしは、こうやって逃げてばっかりなんだ。



自分の気持ちからも。


結衣ちゃんの想いからも。













「‥‥‥あ、あたし‥‥まだ仕事あるから戻るね‥‥っ」





「そっか。うん‥‥バイバイ」





まだ少し強張った顔付きをしている結衣ちゃんに背を向けて、あたしはまた逃げた。






首元の赤い痕を髪で隠すように、自分の戸惑いも胸の奥に隠して。