それと同時に、さっきあたしの顔の下に視線を送った結衣ちゃんの姿が思い浮かぶ。





「‥‥‥‥‥‥ッ!」



横を向いてあたしは言葉を失う。



数分前に、泣き腫らした顔を写したそこにある鏡。





くっきりとあたしの首筋に残る赤い痕は、キスマークであることを示していた。






さっきの不思議な結衣ちゃんの視線は、あたしのこれに気付いたからだ‥‥。





そのことにようやく気付いて、言葉を失うあたしとは対照的に、落ち着いてる様子の結衣ちゃんはじっとあたしを見ている。




何か言わなきゃ‥‥‥。


早く‥‥否定しなきゃ‥‥‥。




心ではそう思っているのに‥‥事実、水樹につけられたということは本当という気持ちに、否定の言葉が浮かばない‥‥。







彼氏もいないのに、こんな痕がついてるなんて普通に考えたら不自然すぎる‥‥。