無言のまま大地先輩に連れられて、夏休みで誰もいない保健室へと入る。
「そこ座って」
先輩に言われるまま、近くにあったパイプ椅子に座ると、その間に薬品などが並んだ棚からガーゼや消毒液を持ってくる。
そして、あたしの目の前に椅子を運んできて座ると、そのままケガした右手を引っ張って、消毒し始める。
「‥‥‥‥っ」
生々しい傷痕に、そっとつけられた消毒液が染みて、思わずギュッと目をつむる。
すると、今まで険しい顔付きをしていた先輩の手が、ポンポンとあたしの頭を撫でた。
「ちょっと我慢な?」
そっと目を開いた先にあったのは、いつもみたいな優しい顔であたしを覗きこむ先輩の顔。
その表情に、少し安心する。
てきぱきと治療をこなした先輩のおかげで、傷の処置が終わった頃には、すっかり痛みも消えていた。


