「いいか、お前ら。夏休みだからってハメ外しすぎるなよ。それと‥‥」




風がぬるい、蒸し暑い教室。



高校生活もあっという間のもので、今日は一学期の終業式。






うちわがわりに、パタパタと下敷きを扇ぐ音がいろんなところから聞こえる。






担任がこれから始まる夏休みの注意事項を話しているのに、それを真面目に聞いてる人なんてほとんどいない中。








あたしはチラッと隣の水樹を盗み見た。



「‥‥‥‥」




先生の話を聞くでもなく、机に突っ伏して寝ているわけでもなく。



水樹はただボーッと窓の外を眺めている。





視線を前に戻すと同時に、小さなため息がこぼれでた。