ベリルは、次のランデヴーポイントを確認するために電話をかけたが、ナユタの言葉であの時の事を思い起こしていた。

 日本からのメールに半信半疑だったものの、助けを求める内容を頭から否定する事は彼には出来なかったのだ。

 そして、日本に来てみれば──それは彼にはまったく関係のない事でもなく、ナユタが捕まっていたカルト教団の教祖(ミコ)はベリルの事を知って彼を神格化していた。

 全てはベリルのために大量殺戮まで計画していた。

 穿(うが)った考えで信仰し、ナユタを捧げものとして誘拐した事をベリルが許容するハズもなく、教祖(ミコ)はいま、殺人教唆(さつじんきょうさ)の罪で刑に服している。

 そこそこの緊張感と日本という国において緊迫感はあまりなく、彼にとってはそれなりに楽しめた出来事でもあった。

 もちろん、罪のない人々を殺すなどという事は断じて許す訳にはいかない。