「やはりお前相手だとすんなりと事が運ばないな。」
ため息交じりにそう言えば、銀色の瞳に悲しそうな色が宿る。
そんなエレナが次に何を言うかなど分かりきっている。
「シルバ…「謝罪はいらない。」
続く言葉をあてられたことに驚いた様子のエレナ。
やはりそうか。
俺は謝罪の言葉が欲しいわけじゃない。
「そんな言葉よりも、俺を信じろ。」
お前が俺を信じてさえいれば何も恐れることはない。
本当はお前ではなく、俺の方が恐れている。
自分が俺にふさわしくないと勝手に思い込んでお前が離れていくことを。
だから―――――――
「絶対に離れていくな…」
あらん限りに見開かれる銀色の瞳。
そして、次の瞬間には大輪の花が咲いたようにふわりとほほ笑んだ。
けれど、返事をしないエレナに痺れを切らし、問いかける。
「分かったな?」
「はい」
涙の残る瞳を細めて嬉しそうに笑うエレナに、今度こそ安堵する。
俺にここまで言わせるなどお前だけだ。
心の中で、唯一自分をてこずらせる相手を思いながらため息を吐く。

