周りの目がなんだというのだ。
子供への愛も、エレナへの愛も、俺だけが持っていれば十分だ。
そういう意味を込めての言葉だった。
すると、その意味にやっと気づいたエレナは目を見開く。
「シル…バ………っ」
息を詰まらせて瞳に涙を浮かべる表情がたまらなく愛おしい。
その衝動のまま、小さく震える手を引き寄せ、胸の中に引きこんだ。
大人しく抱きしめられるエレナの背中に手をやれば、長時間外気にさらされ冷たくなった肌にあたる。
そして、滑らかな肌のある一点に行き当たり、より一層エレナを抱きしめる腕に力が入る。
「俺がこの傷に誓っただろ…もう誰にもお前を傷つけさせはしないと。」
エレナがハッと息を飲むのが分かった。
そう……俺はこの傷に誓った。
エレナを守り抜くと―――――
もちろん生まれてくる子供も。
それがたとえ何を敵に回そうとしても…
「本当に…?」
そんなことを言うお前に俺の覚悟は伝わっていなかったわけだが。

