白銀の女神 紅の王Ⅱ




周りの目がなんだというのだ。

子供への愛も、エレナへの愛も、俺だけが持っていれば十分だ。




そういう意味を込めての言葉だった。



すると、その意味にやっと気づいたエレナは目を見開く。




「シル…バ………っ」


息を詰まらせて瞳に涙を浮かべる表情がたまらなく愛おしい。

その衝動のまま、小さく震える手を引き寄せ、胸の中に引きこんだ。

大人しく抱きしめられるエレナの背中に手をやれば、長時間外気にさらされ冷たくなった肌にあたる。

そして、滑らかな肌のある一点に行き当たり、より一層エレナを抱きしめる腕に力が入る。





「俺がこの傷に誓っただろ…もう誰にもお前を傷つけさせはしないと。」


エレナがハッと息を飲むのが分かった。



そう……俺はこの傷に誓った。




エレナを守り抜くと―――――



もちろん生まれてくる子供も。

それがたとえ何を敵に回そうとしても…





「本当に…?」


そんなことを言うお前に俺の覚悟は伝わっていなかったわけだが。