しかし、エレナの表情は曇ったまま。
「シルバは…あの……どう思ってるの?」
俯いたエレナが言葉を濁す。
そして、言いにくそうに口を開く。
「もし生まれた子供が能力を持っていたら…」
チラとこちらを窺いながら小さな声でそう言うエレナは不安げな表情が浮かんでいた。
「見離すと思うのか?」
その言葉に弱々しく首を横に振り、否定するエレナ。
俺の服の端を遠慮がちにキュッと握りしめる。
「そんなことないっ……そんなことないけど…異形の能力者はシルバが思っている以上に周りから好奇な目で見られたり、恐れられたりするの……」
「それがなんだ。」
素直な思いを口にすれば、エレナは驚き、困ったような顔で呟く。
「なんだ…って……」
後に続く言葉が出ない。
まさかそんなことを言われると思っていなかったのだろう。
拍子抜けたエレナの表情が可笑しく、フッと笑って俺の服を掴むエレナの手を取る。
「お前はもう一人じゃないんだ、エレナ。」
言葉の意味が伝わっていないのか、エレナは疑問符を浮かべる。
「生まれてくる子供にもお前と俺がいるだろ。それとも俺だけでは不服か?」
周りが何を言おうと、どんな目で見ようと関係ない。
少なくとも俺だけはお前から離れてはいかない。
そして、生まれてくる子供も少なくとも2つの愛は得られる。

