白銀の女神 紅の王Ⅱ





すると――――――


顔を覆っていた手をゆっくりと離し、涙で濡れる銀色の瞳と目が合う。

そして一瞬躊躇った後、おずおずと口を開いた。




「ジュゼット様と結婚しないで……お願い…」


それを言葉にするのも不安なのだろう。

こちらの様子を窺いながら小さな声で告げられる“お願い”

やっと聞けたエレナの心にフッと笑みがこぼれる。





「やっと言ったな。最初からそう言えばいいものを…」


頬に伝う涙を拭えば、エレナは目を丸くしてこちらを見る。

まるで分かっていない様子のエレナにまた笑みがこぼれた。





結局―――――――


この言葉を聞きたかったのはエレナ自身のためではないと。

俺が満たされたかったのだ。

エレナの想いが俺だけに向いていることを。



そして、改めて自覚させられる。

周りばかり気にして自分の感情を後回しにするこの女を愛していると。

愛されることを知らないこの女に愛を与えたいと。

俺には最初からエレナしかいない。