白銀の女神 紅の王Ⅱ




しかし、これで終わりではない。

エレナに自覚させなければならない…




「何故俺がエストの姫を選ぶと思った。」

「…………」


眉を寄せ辛そうな表情をするエレナ。

そんな顔をさせたいのではない。

先ほどのような苛立ちはなく、ただ促すようにエレナに問う。




「あいつを妃として迎えてもいいのか?」


その言葉にハッと目を開き、一気に銀色の瞳が潤む。




あと一息か……

そう思いながらもエレナの頬に手をあてる。




「お前に触れるように、あいつにも触れていいのか?」


滑らかな肌を愉しむように頬を撫でれば、エレナに変化が見られた。

頬を包んだ俺の手を取ってすり寄り……



「………ゃ…」

「聞こえない。」



俺の手を持ったまま俯いたエレナの頬をこちらに向かせ、そう言う。

すでに銀色の瞳には溢れそうなほどの涙が浮かんでいた。

すると、意を決したように震える唇が動く。



「いや……そんなのいや……ひっく…」


弱々しい否定の言葉とともに、涙がぽろぽろと零れ落ちる。