白銀の女神 紅の王Ⅱ




「あの……シルバ…?」

「なんだ」


遠慮がちな声に、足の手当てをしながら答える。




「ここに居てもいいの……?」

「それはどういう意味だ?パーティーなら終わったぞ。」


エレナの問いの真意は分かっていたが、あえて知らぬふりをした。

キュッとショールの端と端を結び、腫れた足の手当てを終える。




「後宮に戻ってみればお前の姿がないからこうして探しに来た。それが何かおかしいか?」


視線を足から上にあげると、不安に揺れる瞳と目が合う。

視線がぶつかったことに慌てて目を逸らし、言いにくそうに口を開いた。




「いえ……ただ、ジュゼット様と過ごすのかと思って……」


小さいが、はっきりと聞こえたその言葉に大きなため息を吐く。




「まだそんなことを言っているのか。」


呆れ気味に言えば、ギュッと小さな手が何かに耐えるように握られた。

綺麗な眉は見ているこちらが切なくなるほどに寄せられて…




「俺が何故エストの姫を選ぶと思うのか言ってみろ。」

「…………」


ベンチに座るエレナを下から見上げるが、一向に視線を合わせようとしない。

そればかりか、俺の問いかけに答える気配もなく、口をキュッと結んで抵抗を示した。