「あの……シルバ…?」
「なんだ」
遠慮がちな声に、足の手当てをしながら答える。
「ここに居てもいいの……?」
「それはどういう意味だ?パーティーなら終わったぞ。」
エレナの問いの真意は分かっていたが、あえて知らぬふりをした。
キュッとショールの端と端を結び、腫れた足の手当てを終える。
「後宮に戻ってみればお前の姿がないからこうして探しに来た。それが何かおかしいか?」
視線を足から上にあげると、不安に揺れる瞳と目が合う。
視線がぶつかったことに慌てて目を逸らし、言いにくそうに口を開いた。
「いえ……ただ、ジュゼット様と過ごすのかと思って……」
小さいが、はっきりと聞こえたその言葉に大きなため息を吐く。
「まだそんなことを言っているのか。」
呆れ気味に言えば、ギュッと小さな手が何かに耐えるように握られた。
綺麗な眉は見ているこちらが切なくなるほどに寄せられて…
「俺が何故エストの姫を選ぶと思うのか言ってみろ。」
「…………」
ベンチに座るエレナを下から見上げるが、一向に視線を合わせようとしない。
そればかりか、俺の問いかけに答える気配もなく、口をキュッと結んで抵抗を示した。

